LANケーブルのかしめ工具は代用できる?成功率と失敗例から見た最適解

「LANケーブルを1本だけ作りたい。でも、わざわざ高いかしめ工具を買うのはちょっと…」

そんなときに気になるのが「かしめ工具って代用できるの?」という疑問ですよね。

この記事では、かしめ工具の役割から代用品の現実、失敗事例、さらには初心者向けの便利ツールまで、LANケーブル自作に必要な情報をわかりやすくまとめました。

代用は本当に可能なのか?やってみるとどうなるのか?を知りたい方は、ぜひ最後まで読んでみてください。

LANケーブルの「かしめ工具」ってそもそも何?

LANケーブルを自作するときに欠かせないのが「かしめ工具(圧着工具)」です。

でもそもそも、かしめ工具って何?と思う人も多いですよね。

この章では、かしめ工具がどんな役割を果たすのか、そしてなぜ必要なのかを丁寧に解説していきます。

かしめ工具の役割と圧着の意味

かしめ工具とは、ケーブルの先端にあるコネクタをしっかりと取り付けるための専用工具のことです。

「かしめる」とは、簡単にいうと金属部品を押し潰して固定する作業のこと。

LANケーブルの芯線をコネクタの端子にきちんと接触させて、確実に信号が通るようにするために圧着が必要になります。

イメージとしては、イヤホンのケーブルが断線すると音が出ないのと同じで、LANケーブルも中の芯線がきちんと接続されていないと通信できません

つまり、かしめ工具は通信を成り立たせるために必須の工具なんです。

かしめ工具が無いとどうなる?

かしめ工具を使わずにコネクタを取り付けようとすると、まず圧着が甘くなりやすく、通信不良の原因になります

場合によっては、コネクタの金属部が変形してパソコンなどの端子を壊してしまう可能性もあるんです。

しかも、LANケーブルの中には8本の細い芯線が通っていて、それぞれが正しい位置にしっかり接触しないと意味がありません。

1本でも接触が甘いと通信エラーが発生してしまいます

そのため、かしめ工具を使わずに自作しようとするのは、水道管にガムテープでフタをするようなものなんですね。

項目 かしめ工具あり かしめ工具なし(代用品)
圧着の正確さ 安定して高い 不安定・ミスが出やすい
通信の安定性 非常に高い 断線・接触不良のリスク
機器へのダメージ なし コネクタ変形の恐れあり
作業の簡単さ 慣れれば簡単 難易度が高くミスが多い

「かしめ工具の代用」は本当にできる?

LANケーブルを1本だけ作りたい場合、「わざわざかしめ工具を買うのはちょっと…」と思うのは自然なこと。

そこで気になるのが「何かで代用できないの?」という疑問ですよね。

この章では、代用品の現実性やリスク、そして代わりに使える製品について詳しく見ていきましょう。

ドライバーとかなづちで代用は可能?

実はマイナスドライバーとかなづちで、かしめ工具の代わりに圧着するという方法も知られています。

やり方としては、コネクタを万力や机などで固定し、LANケーブルを挿し込んだ後、ドライバーを使って端子部分をかなづちで叩く、というもの。

理論的にはできなくはないですが、これはかなりリスキーな方法です。

たとえるなら、プロの料理人が包丁を使う代わりに「ナタ」でキャベツを刻もうとするようなもの。

力加減が難しすぎて、ほとんどの人は圧着が甘すぎたり強すぎたりして失敗します。

代用すると何が起こるか?成功率とリスク

代用品で圧着した場合、以下のようなトラブルが起こりやすくなります。

リスク 内容
圧着ミス 芯線の一部が接触不良になり、通信エラーや不安定な接続の原因に
コネクタ破損 ドライバーで叩くとコネクタが変形し、PCやルーターの端子にダメージを与えることも
やり直しコスト 失敗を繰り返して、ケーブルやコネクタを何個も無駄にする可能性

結局のところ、成功率は非常に低く、トータルで見るとコストも高くなりがちなんです。

代用するくらいなら「工具不要コネクタ」も検討しよう

もし「どうしても工具を買いたくない」という場合、選択肢として工具不要コネクタがあります。

これはコネクタ本体にカバーがついていて、LANケーブルを差し込んだ後にカバーを閉めるだけで圧着できる構造です。

簡単ですが、コネクタ自体が高価(1個300~600円、カテゴリー7用は1,000円超)なのがネック。

さらに、抜き差しが多い場所では接続が緩くなることもあるため、用途は限られます。

とはいえ、たった1本作るだけならこちらの方が失敗しにくく、機器を壊すリスクもありません

かしめ工具を選ぶなら、ここに注意!

かしめ工具はどれでも良いというわけではありません。

LANケーブルを自作するなら、適切な工具を選ばないと通信不良や作業ミスの原因になります。

この章では、かしめ工具を選ぶ際に見るべきポイントを整理していきましょう。

ラチェット付きのメリットとは?

LANケーブル用のかしめ工具を選ぶなら「ラチェット付き」が圧倒的におすすめです。

ラチェットとは、ハンドルが途中で戻らない構造のことで、圧着が完了するまでしっかり固定されるのが特徴です。

「カチッ、カチッ」という音とともに、最後まで握り込むことで芯線を均一な圧で押し込めるんです。

逆にラチェットなしの工具だと、どこまで握れば良いのか分からず、圧着が甘くなったり強すぎたりしてしまいます。

これは料理で例えるなら、レシピがないまま味付けをするようなもので、失敗の確率が一気に上がります。

対応コネクタの種類(RJ-45・GG45など)に気をつけよう

LANケーブルには「カテゴリー」という規格があり、それに応じて使用するコネクタも異なります。

たとえば、以下のような対応が一般的です。

LANケーブルの種類 コネクタ 対応工具
カテゴリー5e RJ-45 ほとんどの圧着工具で対応
カテゴリー6 RJ-45 同上
カテゴリー7 GG45 GG45対応の特殊な工具が必要

ほとんどの家庭ではカテゴリー5eか6の使用が多いですが、10Gbps通信を視野に入れるならカテゴリー7も検討されます。

この場合は、GG45に対応したかしめ工具を選ばないと物理的に接続ができません

価格帯とおすすめメーカー一覧

安価な圧着工具もありますが、LANケーブルの品質や機器への影響を考えると、ある程度の予算は必要です。

以下のような価格帯とメーカーを参考にしてください。

価格帯 品質 主なメーカー
~1,000円 圧着精度に不安あり、非推奨 無名ブランド
3,000円~5,000円 標準的な品質で家庭用に最適 サンワサプライ、ホーザン
5,000円以上 プロ仕様・高耐久 マーベル、ジェフコム、ロブテックス

LANケーブルを1本だけ作るならともかく、複数本作るならしっかりした工具に投資する方が安心です。

LANケーブル自作に必要なその他の便利ツール

LANケーブルの自作において必須なのはかしめ工具ですが、それ以外にもあると便利なツールがあります。

それらを使うことで、作業の精度や効率が格段にアップします。

この章では、LANケーブルの自作をサポートしてくれるおすすめツールを紹介します。

外皮むき工具(ストリッパー)の必要性

LANケーブルの被覆を剥くときに活躍するのが外皮むき工具(ワイヤーストリッパーです。

カッターやハサミでも代用可能ですが、芯線を傷つけるリスクが高く、通信不良の原因になることも。

外皮むき工具なら、刃の深さを調整できるため芯線を保護しながら被覆だけを綺麗にカットできます。

作業効率も良くなるため、初心者ほど使う価値があります。

ケーブルカッターとニッパーの違い

LANケーブルの長さを調整するためにケーブルカッターニッパーが使われます。

ニッパーでも切ることは可能ですが、LANケーブルは中に8本の芯線があるため切断がやや硬いんです。

その点、ケーブルカッターは太いケーブルも軽い力でまっすぐ切れるので、仕上がりが綺麗になります。

工具 メリット デメリット
ニッパー どこにでもある、安価 切断面が乱れやすく芯線が曲がることも
ケーブルカッター 綺麗に切れて作業がしやすい 専用工具なので購入が必要

テスターで断線チェック!意外と大事な仕上げ工程

自作したLANケーブルは「挿して使えば終わり」ではありません

断線していないか、芯線が正しくつながっているかを確認するためにテスターを使いましょう。

テスターを使うことで、以下のようなトラブルを事前に防げます。

  • 通信できない
  • 通信はできるが速度が遅い
  • コネクタが変形して機器にダメージ

LANケーブルをねじったり曲げたりして何度かテストすることで、接触不良のチェックも可能です。

圧着・皮むき・切断が一体になった「多機能工具」とは?

「工具を揃えるのが面倒」「1本のツールで全部済ませたい」そんな人には多機能型の電工ペンチがおすすめです。

1本で圧着・外皮むき・ケーブル切断ができる優れもの。

さらに、ラチェット付きのものもあり、家庭用のLANケーブル作成には十分な性能を持っています。

ただし、あまりにも安価なものは圧着精度が低い場合があるので、やはり3,000円以上のモデルを選ぶのが無難です。

初心者がLANケーブルを自作する際の注意点

LANケーブルの自作は慣れれば簡単ですが、初心者が最初に取り組むにはいくつか注意点があります。

この章では、ありがちな失敗例や事前に知っておきたいポイントを紹介していきます。

芯線の順番ミスが一番多い

自作で最も多い失敗が芯線の順番を間違えることです。

LANケーブルの中には色付きの8本の芯線が入っており、正しい配列でコネクタに挿し込まないと通信ができません。

以下の配列がよく使われる「T568B」タイプです。

ピン番号 芯線の色
1 白/橙
2
3 白/緑
4
5 白/青
6
7 白/茶
8

芯線の並びを間違えると通電はしてもデータが正しく流れないため、必ず配列を確認してから圧着しましょう。

最初は失敗して当たり前。コネクタの予備は多めに

LANケーブルの自作で「最初はうまくいかない」と思っておく方が気楽です。

よくある失敗例としては以下の通り。

  • 芯線の長さがバラバラで奥まで届かない
  • 圧着が足りずに接触不良
  • コネクタの変形や割れ

こうしたトラブルに備えて、コネクタは10個以上のセットで用意しておくと安心です。

1〜2個の単品販売もありますが、送料やミスのことを考えるとまとめて買った方がお得です。

長さの限界と既製品の活用も考えよう

LANケーブルには長さの限界(約100m)があります。

100mを超えると通信速度が大きく落ちるため、無理に長いケーブルを自作するのは避けましょう。

また、今では10m刻みで既製品のLANケーブルも販売されているため、1本だけ必要なときは既製品を買った方が効率的です。

自作のメリットは「必要な長さで複数本作れること」や「壁の中や配管に通すためにコネクタなしで通線できること」にあります。

そのため、費用と作業時間のバランスを考えて、自作と既製品の使い分けを検討しましょう。

まとめ:かしめ工具の代用は可能だが非推奨。投資する価値あり

LANケーブルを自作する上で「かしめ工具」はほぼ必須の存在です。

マイナスドライバーやかなづちで代用する方法も紹介しましたが、成功率が低く、通信不良や機器の故障リスクを考えるとおすすめできません。

工具不要のコネクタという選択肢もありますが、こちらもコストが高く使用環境が限られます。

そのため、今後もLANケーブルを自作する予定があるなら、ラチェット付きのしっかりしたかしめ工具を1本持っておくのが安心です。

また、外皮むき工具やケーブルカッター、テスターといった周辺ツールもあると作業の効率や成功率が大きく上がります

初心者には圧着・皮むき・切断が1本でできる多機能工具や、必要な工具がセットになったキットもおすすめです。

選択肢 メリット デメリット
かしめ工具(推奨) 確実・安全・長期的に使える 初期投資が必要(3,000円〜)
ドライバー+かなづち 手持ちの工具で試せる 失敗率が高く、精度に難あり
工具不要コネクタ 初心者でも簡単 高価・強度がやや不安

LANケーブルの自作は、準備さえ整えれば誰でも挑戦できます

「ちょっと難しそう」と感じている方も、今回の記事を参考にして、まずは1本作ってみるところから始めてみましょう。